初めての注文住宅で一条工務店を検討中の方へ|「総合免災住宅」を建てた筆者の体験談
0.はじめに
注文住宅を考える際、多くの施主が一条工務店を候補に挙げます。一条工務店の住宅は高性能な標準仕様が魅力ですが、建設後のリアルな感想や注意点を知りたい方も多いはずです。
筆者自身、2021年の冬に一条工務店で注文住宅(総合免災住宅)を購入し、執筆時点で施主4年目に突入しました。その体験をもとに、メリット・デメリット、契約後や入居後の注意点について正直にお伝えします。
1. 一条工務店の特徴と標準仕様の魅力(メリット)
家の性能を売りにするハウスメーカーや地場工務店を検討すると、「高断熱・高気密」という単語をよく見聞きすると思います。
断熱性能や気密性能が高いと、冷房や暖房が効きやすい。ひいては、夏・冬の電気代が節約できるということです。
住宅の本体価格のみに気を取られて、40年以上のランニングコストが見落とされることは避けたいですね。
・C値(隙間相当面積)
一条工務店は「気密測定が標準」で行われ、C値の目安は「0.6以下」と高性能。寒冷地でも快適に過ごせます。
- C値0で隙間なし。数字が大きくになるにつれ、家の隙間が多いということ。
- 大手鉄骨メーカーの業界基準は「2.0以下」と言われています。
- 原則、住宅等の居室では、2時間に1回以上の換気を確保できる換気量を有する換気設備の設置が義務付けられていますが、「C値1.0」を上回ると、この法定換気量を保証できません。つまり鉄骨造は・・・・。
・UA値(外皮平均熱貫流率)
UA値は、熱が貫流する率なので、こちらも値が低いほど、良い(断熱性が高い)と言えます。
一条工務店はUA値も優秀で、我が家のi-smart(総合免災住宅)で、0.23の値です。
※i-cube,smileなどの廉価モデルでは、断熱性能が落ちます。
0.23がどれくらいの断熱性能かというと、関東以西の比較的温暖な地域では、冬でも暖房が不要(太陽光熱や生活排熱だけ)で過ごせる基準です。
※筆者は青森住みなので、冬でもガンガン光熱費がかかります。
UA値は、各地域によって、求められる水準が変わります。そのため、HEAT20が提唱する「G2グレード」が、要求ラインと覚えておきましょう。
※「G3グレード」が無暖房住宅(パッシブハウス)ラインです。
例:UA値0.23は、愛媛ならG3だけど青森ならG2。
・耐震等級3が標準
一条工務店の住宅は、すべての構造が「耐震等級3(最高等級)」に対応しています。
青森のような多雪地域では、2mの積雪を想定した上で構造計算をしますが、それでも耐震等級3を標準でクリアしています。
・太陽光発電が標準装備
太陽光発電と蓄電池が標準仕様として組み込まれているのは一条工務店ならでは。筆者宅では約5kWのシステムを搭載しました。
なお、太陽光パネルの設置費用は年々低価格化が進んでいますが、蓄電池はまだまだ価格が高いままです。それが標準仕様でコミコミ価格なのは嬉しいです。
筆者は運よく、ZEH+(ゼッチプラス)補助金も対象になり、さらに低価格での導入が可能でした。(補助金のために申請費用や、いらない設備を導入させられた気がしますが、それでも黒字です。)
・全館床暖房の快適さ
寒冷地に適した全館床暖房が標準装備されており、部屋ごとの温度ムラがほぼありません。冬でも家全体が暖かく快適に過ごせます。
高気密・高断熱では床暖「不要論」もありますが、「部分床暖(リビングダイニングだけ床暖でエアコンを併用とか)」の場合は暖房効率が悪いとされ、一条工務店の場合は「全面床暖(冬のエアコン不要)」のため、不要論には当てはまりません。
2. 筆者の実体験から感じたデメリット
ここまで、一条工務店のメリットばかり列挙してきましたが、これらの性能を覆すほどの??筆者が実際に体験してきたデメリットもご紹介します。
・契約後のやり取りに不満しかない
一条工務店と建築請負契約を結んだ後でないと、設計士との間取り打ち合わせはスタートしません。つまり、契約後からが家づくりの本番が始まるというわけですが、、、、
一条工務店側は、あからさまに流れ作業になります。
具体的には、間取りも決まっていないうちから着工日を決めて、締切までに間取りの妥協点を探る。みたいな流れになります。
着工日まで十分な回数の打ち合わせを確保できれば問題ないんですが、なんといっても着工棟数世界一の一条工務店です。
一条工務店側も流れ作業で捌いていかないとどんどん客が溜まっていきます。絵に描いたようなやっつけ仕事を実感できます。
我が家の場合は、設計課長?なる決定権者の方に間取りを設計いただいたのですが、会社本部への確認事項もやっつけで、結局「一条ルール」に抵触し、着工日直近で間取りのやり直しを余儀なくされました。
自ずと、着工日も延期になりましたが、アパート家賃などの保証はなし。「契約した商品(総合免災住宅)を別の商品に切り替え変えれば、そのままの間取りで着工できたのだから、これはお客様都合の延期になります」との理由だそうです。
責任者が社内での確認を怠ったミスを我々に押し付けられました。
この時点で、契約破棄も考えましたが、打ち合わせの最中はまさにコロナ真っ只中で、ウッドショックにより一条工務店以外の他社の建築費用が軒並み高騰していました。
そんな中、一条工務店は契約締結済みだったので、価格据え置き。契約破棄にも違約金の可能性があるため、泣き寝入りしました。
結局、延期後の着工日も余裕がなく、「施主最終確認」を省略し、承認のハンコだけ押させられる始末。
これも、ZEH補助金の申請期限の兼ね合いで、再々延期が難しい(延期すると補助金申請が間に合わない=施主である我々が損する)という理由で、間取りをも妥協する羽目に。
建築施工中のトラブル(変更期限内の設備変更が無視される)や、入居後のトラブル(度重なる外壁タイルの割れ)等々も、いまだに(入居4年目)あとを絶ちません。
3.まとめ
一条工務店の住宅性能に関しては、業界トップクラスであることは間違いないと思います。ただし、その優秀な商品開発部門とは裏腹に、契約を交わした後、金銭の授受が終わった後の会社組織としての顧客への対応(いわゆるアフターサービス)は、目に余るものがあります。
私たちの生活は、入居してからが始まりです。一生を過ごす終の住処をあなたはどんな会社と共に建てたいですか?
一条工務店は、全国ほとんどの地域で建築が可能です。あなたの地域に、より良い選択肢があることを切に願います。